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境界線

本日は、より深く世界遺産をご理解いただけるよう「境界線」というテーマでお話しさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

街中の都市公園・緑地と違い、世界遺産や自然公園(国立公園、国定公園、都道府県立自然公園)は公園登録地を柵などで囲っていません。なぜなら、都市公園や緑地は都道府県や市町村の土地であるのに対し、世界遺産や自然公園は公園自体の土地が無いからです。地図上で世界遺産、自然公園の区画を取り決めて境界線とします。

  P3290048.JPG道路上では、世界遺産登録地入り口に看板が設置されています。
知床国立公園登録地も含む知床世界遺産登録エリアは、開発行為・人工物の増改築などに規制があるので、素晴らしい自然度が堪能いただけます。
さえぎるものの無い「知床連山」や「オホーツク海の夕陽」。高頻度で目にすることが出来るキタキツネ・エゾシカ・ヒグマなどの野生動物。観光船からのダイナミックな断崖絶壁の自然地形。
多くの訪れる方々が知床の自然を様々な形で満喫してお帰りになります。
「やっぱり自然は素晴らしい!」って。

 

P3280042.JPG・・・「やっぱり自然は素晴らしい!」。世界遺産の管理に携わる私どもにはありがたいお言葉です。
 ところが、私はその言葉にとても違和感を感ずるのです。
世界遺産・自然公園と私たちの日常の生活に、年々隔たりが大きくなっていくように感じられる言葉の一つです。

知床世界遺産センターの写真パネルの一つに、ロシアの極東地域(オホーツク海周辺地域)からアメリカのアラスカ(ベーリング海周辺地域)までの広範囲をご紹介している衛生写真があります。サケ類やワシの仲間をはじめとする野生動物の回遊路・分布を考えると、知床の自然はとても広い地域・様々な国と関わりのあることがわかります。
私どものご紹介している、知床の自然の広大な背景のお話しを通して、
是非とも「知床の自然からの気づき」が、皆さんのお住まいの地域・生活に役立てばと思っています。

「残してきた」
「残していこう」
という世界遺産・自然公園が希少なものとして孤立せずに、
また、地図上の境界線が私たちの意識まで隔てないよう、
ありのままの生命の遷ろう場所を増やしていくきっかけになれば、と切に思うのです。

 

(担当:イナバアヅサ)

記事掲載日: 2018/07/25  カテゴリ: 知床自然情報