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それぞれの世界遺産。

曇天の続く知床ウトロです。
木々の芽吹きが待ち遠しいのですが、雪が急激に溶けていくのも寂しい気がします。

 

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曇天のウトロ(オロンコ岩とオホーツク海)

世界遺産に対して色々なご意見をいただきます。
また、様々な見方があります。

世界遺産には3種類あります。
・人類の歴史が作り出した「文化遺産」
・すばらしい自然を後世に残すための「自然遺産」
・上記2つを兼ね備えた「複合遺産」
の3つです。

文化遺産は、寺社仏閣、城跡など現存する歴史的・文化的に価値のあるものを後世に残すため登録される、人の歴史が作り出したものです。
当時の文化や権力者たち、庶民の嗜好がうかがえます。日本では、古都・京都や奈良の文化財や熊野古道の霊場、白川郷の合掌造りなどの様子から、流行した宗教や地域の文化がよくわかります。
逆に、文化遺産は格差社会をよく表しているものだという指摘もあります。姫路城、沖縄の城(グスク)跡をはじめとした世界中の文化遺産に登録されているお城や墓所は権力者と奴隷、為政者と一般庶民の格差社会も見て取れます。

自然遺産は、鹿児島県屋久島、秋田・青森両県にかかる白神山地、そしてこの知床が国内で登録されています。海外では、アメリカのイエローストーンやグランドキャニオン、珊瑚礁が有名なオーストラリアのグレート・バリア・リーフ、ガラパゴス諸島などです。いずれも、雄大な景観や絵に描いたような様々な生き物たち、命のつながりが手にとってわかるような生態系などのすばらしい自然が残されているところです。また、後世に残していくために地域の様々な工夫や取り組みが行われているところです。
ダイナミックで原生的な自然に触れると、癒されるとともにエネルギーがわいてきます。観察するだけではなく登山やカヤックなどのアクティビティーで自然の奥深さを知ることで、自然の尊さを感じることができます。
しかし、私たちは街や家に帰るとついその深い気づきを忘れてしまいがちです。「自然遺産は、産業や経済ばかりを発展させて、材料や発展に利用した自然を無視してきた僕たちの内省の場なんじゃないか」と指摘をいただいたこともあります。

登録されただけでは、ただすばらしい自然の残っている地域です。世界遺産登録から行われている地域住民や専門家との取り組みをバランスよく続け、知床の自然や地域の良さを壊さずお伝えしていきたいです。

 

(担当:いなばあづさ)

記事掲載日: 2018/07/25  カテゴリ: 知床自然情報