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道徳は防腐剤 by啄木鳥のヒト

啄木(キツツキ:啄木鳥とも)と書いて、タクボクと読ませた詩人・歌人、石川啄木。
岩手県盛岡出身ですが、函館の小学校教員や札幌・小樽・釧路にて新聞記者をしていたこともあるそうです。
そんな啄木は、童話の中で、「道徳は、人間が自然や社会を腐らせないための防腐剤」という意味の言葉を残しています。 

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サルと人と森(著:石川啄木、訳:山本玲子、絵:鷲見春佳) 


また、同じ童話の中で、自然から人間へのメッセージを厳しい口調でサルに語らせる場面も印象的です。
サルは人間の独りよがりな文明の進歩のさせ方に、嘆くと共に指摘します。
「俺たちは人間の祖先なのに、どうして人間はサルを馬鹿にするんだろう」
「おれたち(サル)の4本の足は、足であると共に手でもある。(中略)だけど、(人間は)今はその働きが出来ない。人間の手足の歴史は退歩したのだ。」と。

続いて人間も反論します。
「俺たちがもし世界中の木を切ってしまったならば、お前たちはいったいどこに住むというのだ。」 

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サルはさらに嘆き、こう言って去っていきます。
「ああ、とうとう人間の最悪の思想を吐き出したな。人間はいつの時代も木を倒し、山を削り、川を埋めて、平らな道路を作って来た。だが、その道は天国に通ずる道ではなくて、地獄の門に行く道なのだ。」
―木下の人間は、サルに真(まこと)のことを言われたと感じつつも、しかし、それを認めることができませんでした。―

100年以上前の詩人の描いた地球の姿を、我々は変えていけるでしょうか?

お客様にこんなご意見をいただくことがあります。
「知床で味わった自然の素晴らしさは、東京に帰ったらすぐ忘れるだろうなあ。」
「知床にいるうちは、知床の自然を守るための募金したいと思うんだけど・・・」

 一人でも多くの方の、防腐剤の有効期限を長くしたいものです。

 

(担当:いなばあづさ)

記事掲載日: 2018/07/25  カテゴリ: 知床自然情報