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[知床沼の巡視]6月6日~7日にかけて

★情報は撮影した当時のものです。

★先端部地区を目指す方は、事前にルサフィールドハウスへお立ち寄りください。

★「シレココ」知床半島先端部地区利用の心得から知床岳の基本的な情報を学ぶことができます。以下URLを参照ください。

https://www.env.go.jp/park/shiretoko/guide/sirecoco/

 

66日~7日にかけて知床沼へ巡視に行ってきました。本来は知床岳まで行く予定でしたが、2日目の天候が悪化し敢え無く下山で知床沼ピストンになりました。

 

これから記す場所に登山道は一切ありません。地形図とコンパスを駆使し、登って行かなくてはなりません。さて、これより知床沼までの難所や説明が必要な場所にスポットをあてていきたいと思います。

 

カモイウンベ川

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当該河川に橋はかかっておらず、渡渉しなければなりませんが、今時期は長靴でも渡れないほど水位が高く、筆者はウェダーを履き、他のメンバーはサンダルに履き替えて渡りました。
7月を過ぎれば、雪解け水が減少し長靴でも渡ることが可能になってきます。

 

ウナキベツ川

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当該河川も人工の橋はありません数年前から倒木を利用して川を渡っています。まだ倒木を利用できますが、いつ洪水などで流されてもおかしくない状況です。

 

ウナキベツ川カウンターからの取り付き

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写真を見てどこを上がれば?となりますが、実際の現場では獣道が付いているので、そこから登ることができますが、土が湿っているため足を取られやすいです。

 

ウナキベツから青沼まで

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ウナキベツ川の斜面を上がりきると、森の中を歩くことになりますが、草本類が茂っていることで足元が悪く、また平地であるため方向感覚が失われやすいです。その際は、お持ちの地形図やGPS機器などを駆使して進む必要があります。地図なしは命取りになります。

 

青沼から崩壊地

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青沼はコバルトブルーの綺麗な沼。ここでしっかり水を取って知床沼まで行きましょう。エキノコックスのことを考え、沼や沢水を飲む場合は必ず浄水か煮沸してから飲んでください。

 

青沼から崩壊地までは標高400mから一気に850mまで登ります。

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写真で見ても分かるとおり、斜面が崩壊しており、踏む場所を間違えると滑落する可能性がありますので、慎重に進む必要があります。

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ですが、崩壊地の景色は日本にはないような景色に映り、筆者は毎回外国に来たような気分にさせられます。

 

崩壊地から知床沼まで

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皆さんはどこに入口があるかわかりますか?

正解は写真中央です、と言ってもどこ?となりますよね。

写真だと説明が難しいのですが、実際に行きハイマツとササをかき分けて下を除くと、歩く場所の地面だけ土が出ており、一切植物が生えていません。それが道の手掛かりになりますが、見つけるのは激ムズです。今回迷いました。

 

入口を見つけてから

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ポロモイ台地へ入っていくとハイマツの背丈は筆者の腰骨辺りから胸辺りまでが基本です。筆者の身長は169cmなので、90cmから120cmまでの高さのハイマツやササのヤブ漕ぎを1時間30分程度続きます。また、ハイマツとイヌツゲの弾力が強く、中々前に進めません。

 

知床沼まで残りわずかな場所で雪渓エリアが出てきます。

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写真中央奥が知床沼方面ですが、このエリアも次のハイマツの入口が何処なのかを探さなければいけません。霧が発生した場合、方向感覚を失うため地図、コンパス、GPSが無い人はここで引き返すことになります。

 

知床沼

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知床沼はハイマツからいきなり抜けた先に現れます。ここでは環境省が指定した野営地があります。

白線内でテントを張ることができ、それ以外の場所は脆弱な植物が生息する湿地帯であるため、野営禁止となります。ご理解とご協力をお願いいたします。

 

知床沼から1132

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2日目に突入。朝の天気はよかったので、まずは1132峰を目指します。1132峰と呼ぶのは正式名が特にないため、皆1132峰と呼んでいます。知床沼から1132峰の入口を見つけるまでも一苦労かかります。ですので、初日に知床沼へ着いたら、1132峰の入口を探すことを勧めます。


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入口を見つけると、ハイマツトンネルがずーっと1132峰まで続きます。半袖で行くと体が傷だらけになりますので、長袖長ズボン必須です。

 

1132峰から先

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1132峰頂上の展望はあまりよくありませんが、一部の場所から次の山1243峰を見ることができます。ここからでは知床岳を見ることができません。今回は1132峰へ上がったところで天候が悪化し、撤退しました。知床沼まで戻ってくると辺りは真っ白。

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朝の晴れが嘘のような天候となってしまいました。このような状態になると、どこに道があるのか分からなくなりますので、速やかに下山してください。また霧が発生すると気温も一桁台にまで落ち込みますので、やはり防寒着は必須です。

 

 最後になりますが、知床岳は登山道がない場所です。誰も管理をしていないため、今後も植物は繁茂していき、ますます行きづらい山になります。だからこそ、事前の情報収集が大切であり、その為にルサフィールドハウスがあります。ルサフィールドハウスで知床岳の最新の情報を仕入れ、下山後は是非ルサフィールドハウスに立ち寄り、「どこが大変で、どこで迷ったか」などのお話しができれば次に知床岳へ行かれる利用者に生かされます。快適な登山をとは言えませんが、冒険心がそそられる知床岳、神秘的な知床沼。登山道の無い道で自分を試すにはうってつけの場所といえます。

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知床財団 もてぎ

 記事掲載日: 2021/07/15  カテゴリ: NEWS
   

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